天神vsジャスコ

九州の商都・天神。九州全域からお客さんを集め、地方都市ながら元気が良いといわれる。東京・海外からも投資を集め、商業ビルの建設も進む。これまでも再三オーバーストア状態と言われながら、ビオロ開業、ロフト進出と大型店が開業して、さらにパルコも進出予定。
そんな天神でも、最近地元商業者から「お客さん離れ」の危機感の声が聞かれるようになった。確かに人通りは多いが、買い物をしているお客さんは減ってきているのではないか、という声。また、建設の続く大名にも、実は空きビルが目立ってきた。よく目を凝らしてみると、2F以降はテナント募集中になっている。一本通りを入ると、出来たばかりのビルが丸ごとテナント募集をしていたりする。平日19時、20時頃にまったくお客の入っていない飲食店もちらほら。ホットペッパーで安くしないと人が入らない。最近出来たおしゃれなお店ほどそんな傾向が見える。
これはなんなのか。ひとつは、目的志向型の来訪が増えているのではないか。目的を達成したら、他のところにはよらない。回遊して余計な消費をすることが減ってきているのではないか。
また、常に「若者の街」として発展してきた天神の求心力が、滞っているように見えること。バブル期は親不孝通り、90年代後半からは大名と、若者のまちが新しい文化と、都市の回遊性を牽引してきた。しかし、ここにきて大名が建設ラッシュで賃料があがり、有名ブランドテナントが入り、「起業空間」としての役割を終えている。次の今泉はどうか。どうも以前の大名の代替として機能してはいないように見える。
これは「中心市街地vs郊外大型店」の構図ではないのか。そして「ジャスコ化」に天神が脅かされつつあるのではないか。
ジャスコ化は、三浦展ファスト風土化する日本」や東浩紀北田暁大「東京から考える」で触れられているが、ジャスコのもたらすオールインワンの過度に快適な環境が、人の行動や文化を蝕む、みたいな、自分の理解はそんな感じ。ジャスコに行き慣れてる若者は、わざわざ電車に乗って天神に出てこなくても、車で郊外店に。家でジャージ着てインターネットしてそのままの格好で車で乗り付けてジャスコに行く。そんなライフスタイルが目に浮かぶ。ちょっと気合入れて格好取り繕って天神行くというのがめんどくさくなるような。
ジャスコ文化が天神の新しい都市文化のサイクルをとめたのか?それとも天神に新しい文化が芽生えないから、ジャスコにいくのか?この変化には敏感になるべきではないか。天神のあり様が問われている気がする。