最近朝日の社説が劣化している

 ここ半年くらい、朝日新聞の社説が劣化してきたように感じている。「文字を大きく」とか「わかりやすく」とか言い出したあたりからかな。しかし、今日の社説は醜い。「おやじの苦言」化しているのでは?

学校裏サイト―いじめの芽を削除しよう|朝日新聞 社説 2008年04月17日(木曜日)付

 学校裏サイトで「キモイ」が半数とか「死ね」が3割とか発見されたらしい。学校裏サイトはイジ

メのになっているから、監視を強化、みんなできることからやろう的な視点だ。

道具の排除よりリテラシーの向上

 だがまず、サイトはツールで、善悪を判断してもしょうがなく、それを使う人間の側のリテラシーの問題ではなかろうか。10年後にWEBを使わない世界に移行していくわけでもなく、いまの子ども達はさらに積極的に、自分の未来のために使っていかなくてはいけないのに。リテラシー教育は、触れさせない無菌教育からは生まれない。

 さらに、社説に書いてあるような教師の携帯パトロールとか、学校の道徳教育とか、「すぐに学校にしらせよう」とか、そんなのはいたちごっこになる可能性大だし、教師にばかり負担かけるのもどうか。また、子どもは、携帯の向こうに知らない世界が広がっていることに、わくわくしながら使っているのではなかろうか。

オピニオンしようと焦ってない?

 朝日は、市民の(親の)不安をあおるだけの表面的な論調でよいのか。あまりにお粗末ではなかろうか。朝日新聞のオピニオンは、ここ半年くらいでずいぶん劣化しているように感じる。社説もそうだし、最近月曜日に載っている未来に向けた提言みたいなものも、そうだ。事象の断片だけをとらえて、とにかくオピニオンを発して社会を引っ張っていくのが新聞の役目、のような変な力が入っている。

 それに比べて、今日の朝日新聞の「私の視点」欄に作家の川端裕人氏が書いていた和田中学校のPTAを地域に移管する記事は、本人の経験を踏まえてPTAの実態と和田中の取り組みの意義、さらに地域に移管するだけではない方向性を示してあり、とても興味深かった。
さらに少し軌道がそれるが、同じ朝日新聞社から出ている論座の今月号は、どの記事も興味深かった。


 即時性は新聞の要だ。しかし、それだけではない。すぐにオピニオンしようとする姿勢はむしろ害悪だ。要は、その事象について多様な視点があるのを示すことが、今新聞に求められていることではなかろうか。


追記2008.4.19

報道の多様性について。

学校裏サイト、9割が「2ちゃんねる」型 文科省初調査
いじめなどの温床になっているとされる「学校裏サイト」について、文部科学省は15日、初めて行った実態調査の結果を公表した。抽出調査では、「キモイ」など「誹謗(ひぼう)・中傷」する言葉を含むサイトが全体の50%にのぼるなど、中高生を中心にした裏サイトの深刻な実態が明らかになった。・・・


朝日式|こいつにコンティニューだ!
この記事に書かれていることを使って、違うことを書いてみよう。


2ちゃんねるのスレッドが9割、その半数からうざい・キモイが抽出。


まあ、抽出されますよねw

2ちゃんねるの実態をそのまま反映してるんじゃないかと。
対策やるなら、ネットでの実名批判、さらしはやめましょう、というリテラシー教育の方に入っていくべきでしょう、やっぱり。

文科省も「この実態が深刻」と指摘しているわけではないので(暗には批判的で、情報提供→マスコミ煽り→国民不安→対策予算化なんでしょうが)、やはり朝日の煽りが過剰なんじゃないかと、思うわけです。

また「学校裏サイト」という言葉も、情報操作系の恣意的な言葉だよね。出会い系サイトとか、自殺サイトとか非合法なドラッグの入手方法書いているアングラサイトとか、そういう系列にいれようとする意図が感じられるよね。


学校裏サイトの実態を冷静に見ている記事としては、トラカレ!に紹介してあったこちら。

どうする?子供の有害サイト対策(番外編)−−「ケータイチルドレン」の実像は?